34567キリ番リクエスト

正義と自由

−第10話−

 アスランは、今の自分がパニックになっていると思った。

「…友達……?」


「ぅうん、カノジョ。二人でデートしたり、一緒に寝たり、夏の夕暮れの海岸でキスしたりっていう…」

「キラ…疲れてるんだね」

 強引に話を終わらせようとしたのが、見え見えだったのか、キラにはっしと腕を掴まれた。真剣な眼差しでアスランを見つめるキラ。

 アスランにはそれがやけになっているからのように見えて仕方がなかった。


「疲れてないよ、全然。ね?アリス?アリスは僕みたいな友達は嫌い?僕のこと嫌いなら、今すぐ出ていってよ。じゃなきゃ、フリでも良いから僕と恋人になって」


「………………ぇ………」

「エッチはしないから…」


 イヤ!そぉいう問題じゃない!特にアスランにとってそう言うレベルではなかった。

(下手したら………バレる!)

 そしてそれは当然の結果を招く。


(バレたら………嫌われる!!!一巻の終わりだ)

 嫌いなら出ていって良いといわれた。けれども、出ていくなどという思考にはどうしても至らなかった。とは言っても、女の子としてキラの「カノジョ」になる気はさすがにない。



「仲のいい親友から初めよ?ね?」

「いやっ!カノジョが良い!手…繋いで歩いたりしたいし、夏の甘酸っぱい思い出も作りたい」

 アスランは本気で慌てる。


「嫌いなら出て行ってって、僕言ったよね?」

「はい…」

 背筋の寒くなるあの感触。


「でもアリスはここにいてくれるんだよね?」

「そりゃっもちろん…」

 友達だから。


「じゃ、親友からはじまる恋とか、初めての口づけとか…そういった萌えを満喫しても良いんだよね!」

「萌え………?」

「そv萌えっ!どうせ学年会長と副会長で二人でやる仕事とか多いし、口説かせてもらうよ」


「ま…マテキラっ!早まるな〜〜」



「アリスよく見たらすっごい美人さんだし、こういうカノジョいるって紹介したらどうやって手に入れたのって驚かれるよv」

 そりゃ驚くでしょうけどね。全然別の意味で。でも今のキラは思い込んでるみたいで。

「ねvねっ!アリス〜v」


 だからアスランは思いきり言ってやった。

「頼むから、は・や・ま・る・な!!!」


 叫びながらアスランはふと考えた。

(ちょと待てよ?この話…今俺が断ったらどうなるんだ?)

 目の前に広がるキラの勘違いに輝いた瞳。若いだけに勢いがある。よけい性質が悪い。この勢いで事情を知らない他の女の子に突っ走っていったら、彼女どころか自分の生活までも脅かされる。何せ、そのキラと殆どの時間を一緒に過ごすことになるだろうからだ。



「彼を作るのは、まだ恐い?」

「ゼッッッタイ嫌!」

「でも気が変わるかも知れないよ?時間が経つと忘れるかも」

「あり得ないから」


 断言するが、おそらく今この瞬間だけなのだろうと思われる。下手に固辞して彼女の矛先を変えるわけには行かなかった。

 キラは意固地になっているだけだった。


「じゃぁさ、キラに本当に信頼出来る人が出来るまでの間……っていう条件付で良いなら…」

 遂に、アスランは折れた。

「やった!じゃ、明日っから僕たちは親友から恋人同士に昇格だねv」

 思い込んでいるからか、キラの思考の早いこと。


「そうはいかないよ」

「何でッ!」

「まずは私を口説いてから。私はキラのことは大好きだけどまだ友達としてなの。私の気持ちを変えさせてよ」


 アスランは折れはしたが、同時にキラに挑戦状を叩きつけた。出来るだけ一緒に寝たりなどというすぐに男とばれる行為を先延ばしにするため。


 この際小細工でも何でもいい。とにかく時間稼ぎが最優先事項だった。そのうちにキラが諦めてくれれば何と言うことはない。

 ついでに彼女がもう一度彼氏を作れるほど回復してくれれば、周囲にもこんな変なことバレずに済むのだ。


(無難路線!無難路線!!出来るだけ事が小さくて済みますように〜〜〜)

 アスランは心の中で強く念じる。無宗教だがさすがに神を信じたいときがある。今がまさにその時だった。





 そして翌日から、アスランにとって更に怒濤の日々が始まる。最初は何でも一緒の時間が急に増えることに戸惑ったりもした。それでも人という生き物は慣れるもので。どうせ学年会長の仕事でしょっちゅう一緒だったし、校内で他の人の目があるときまで、キラは積極的に迫ってきたりはしなかった。

(い…一応、そういう常識とかはあるわけね………)

 内線通話も、鬱陶しいほど毎日事あるごとにというほどでもない。


(確かに、男から見れば可愛いと思えるかもな…)

 率直にそう思った。あのシンという少年が惚れるのも判らないでもない。頭の毛の先から足の爪の先まで女の子って言う感じではない。男の子が好きそうな話題も知っているし、話も合わせてくれる。時折映画を見に行っても、隣に座りアスランの指にそっと自分の手を重ねている程度。それすら、周囲から見れば仲の良い女友達にしか見えなくて。


(けど、この状況で安心しているわけにもいかんからなぁ…)

 部屋に帰ってTVを見ていても、ちょっとした隙に視線を感じることがある。

「残念でした。まだ、その気じゃないよ」

「アリスのほっぺ、気持ちよさそうなのに〜〜〜」

「まだ早いね。ちゃんと時間をかけて、手順を踏まなきゃダメ」


「ケチ!でも僕はまだ諦めてなんかないからねっ」

「はぃはぃ」



 キラが距離を縮めようとし、アスランが巧みに交わしながら、桜の花は完全に日よけに変わっていった。


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*Freedom*What does it mean that they said Freedom and Justice?I understand it is my life and my heartful girlfreiend!!*Justice*
いいわけv:ピンチは全く回避されてはいません。むしろ逆(笑)
次回予告:秋山の想像するシンのイメージは、所詮こんなもの+ここはお笑いサイトだからね。シン…ごめん(笑)

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