34567キリ番リクエスト
−第23話−
「キラとのファースト・キスを、共有したいな」 すると再びキラが引き始めた。 「ごめんなさい。キスは……その…」 「シンと…?」 キラがびくりと震える。あらかじめ判っていたことだった。 「じゃぁ、キラの彼氏との記憶を忘れられるくらい、きみの心を俺で埋め尽くしたいと言ったら?」 「ふぇ…?」 「キラは可愛いからね〜。俺が出会うのが遅すぎたんだね…」 「そんなことっ!そんなこと…ないです………」 わざとらしくキラの腰に手を回し、急に抱き寄せると彼女は既に噴火直前だった。 しばらくの間もがもがともがいていたが、観念したのかキラはぎゅっと目をつむった。至近距離で、唇が震えているのが見て取れる。ここが街中であることもすっかり忘れて、アスランは彼女の唇に自分の感情の全てを注ぎ込んだ。 長い時間をかけて離すと、途端にキラから全身の力が抜ける。地面に激突しそうになるところを、間一髪で抱き留めた。 「返事だって、受け取ってもいい?」 「そんなこと…聞かないでください………」 「俺だけの彼女になって下さい」 そして彼女は、微かな声で、でもハッキリと、はい、と言った。 もうそろそろ夕方になるのでは、という予感がする頃アスランはキラの彼氏として彼女の学校の校門まで送った。ふと、キラが何かを探しているような素振りを見せた。 「どうしたの?」 「え?ぁ…と、友達がいるんですけど…ちょっと姿が見えないなって」 「キラに妬いてるかな〜」 「え?」 「オトコと一緒に帰ったりなんかしちゃったからv」 「ば…ッ!そんなこと……そんなことっ…」 あたふたするキラはやはり可愛い。 「喜んでもらえるといいね」 「喜んで…くれると、思います…」 キラは、繋いだアスランの手を愛おしそうに握り返した。 そうやって彼女と別れ、アスランは速攻で着替え、何食わぬ顔で寮に戻る。自分の部屋にはいなくて、キラの部屋に行ったら、彼女は可愛らしいウサギのぬいぐるみをずっと見つめていた。 「そうしてるの見ると、本当キラって女の子だよね〜」 「何言ってるのぉ!アリスだって同じでしょッ」 そのぬいぐるみは、以前アスランがアスランとしてキラにあげたもの。結構大きいのでよくキラの抱き枕になっている。 「いいことあったって顔してるねv」 「ないよっないよぉ!何にもないッ」 しらを切り通せないところがキラの可愛いところ。そんなこと言っていても、しっかり表情に出ているのだった。 「今日はどこまで行ったの?」 「え…えぇ〜〜と………って、違うよぉ!」 「あ〜もうAは済みってこと!ゴチソウサマ〜v」 顔をこれでもかと言うほど真っ赤にさせたキラに、これ以上言い返す気力は残っていなかった。 「アリスのばかぁ〜〜〜っ」 アスランはキラの目の前にすとんと座る。 「彼の目をちゃんと見られた?恐くなかった?」 「………ぅん…」 「周囲が気になることもなかった?」 「そう言われれば………」 アスランはキラに優しく微笑みかける。今度こそ本当の安堵とともに。 「じゃぁもう大丈夫だね。キラは元通りの、可愛いキラに戻れたんだよ」 アスランはそう言ってキラの頬に軽くキスを贈った。 「ぁあ〜っ!アリス初めて僕に欲情してくれたv」 「欲情じゃないでしょ!」 「キスしてvキス。ここにぃ〜…」 可愛らしく唇を指し示すキラを、きちんと叱る。これもアリスとしての役目だった。 「そこは!もう、彼氏専用のでしょ!」 「大丈夫だよぉ。アスランとはちゃんとキスもしてきたもん!もう初めてじゃないもんv」 ニヤリ! 「ふぅ〜〜〜〜〜〜〜んv今日のデートはキスを堪能してきたんだv」 「あ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!」 「今さら慌てても、もう遅いよvキラv」 キラはプレゼントのぬいぐるみをぎゅぅ〜と抱きしめながら恥ずかしがる。 「ばかばかばかぁっ!アリスのばかぁっ。全部言わせないでよぉっ」 「はいはい。じゃ、今日はキラの恋が成就したってことで、パァ〜〜〜っとお祝いね」 「アリスぅv」 「明日っからは猛特訓ねv」 「モウトックン?何の?」 「キラはどこの大学に行くつもりなのかな〜〜〜〜〜〜〜って、思ってv」 今日はいい日だった。キラの顔色がくるくる変わるのが見られたから。キラからすれば天国と地獄だっただろうけど。 「どうしよう…彼、すっごいお坊ちゃまみたいなんだけど……………」 トマト顔が一転。真っ青になってオロオロするキラ。その彼女の肩をぽんとたたいてアスランは保証する。 「だったら、キラが得意な分野で、出来るだけ上を狙えばいいってことでしょ?国公立とか私立にこだわることなく」 「私学はお金かかるから…」 「その彼って、キラのこと好きって言ってくれた?」 そしてまたキラは真っ赤になる。 「………ぅん、付き合って…欲しいとかナントカ………」 「出世払いで払う手は?」 「出世払い?」 「要相談って事v」 キラはきょとんとして、よく判らないが言ってみる、と返事をした。 ちなみに卒業後、本当に出世払いになってしまう。アスランが、学費はできるだけ援助するから、行った方がいい、と言ったからだ。更には下宿……という名の別荘まで貸してくれて。 「僕…本当にこんなとこいてもいいの?」 そうキラが聞くと、アスランはアッサリ肯定した。 「キラは、家付きカー付きジジババ抜きって言うのは好き?」 ザラ家の所有する別荘の、ベッドの中でアスランはキラに意味深に囁く。 「なにそれぇ…」 「俺と結婚する話v」 さすがはザラ家の別荘。キラがどれほど絶叫しようとも、近所迷惑にはなり得なかった。 「友達に、悪いな…」 「キラの話してた子?」 「うん。卒業と同時に、別れちゃって……僕うっかりさんで連絡先聞くの忘れてた…」 「キラ…」 それは、アリスのことだった。彼女は今でもアリスを友人と思っている。今でも大事に心にとめている。そのことがアスランには嬉しかった。 「ずっと、友達で……いつだって僕のことだけ考えてくれて。すっごいわがまま言ったのに、お世話になりっぱなし………」 「きっとそれはいつか形を変えて彼女に届くよ」 「そんなこと判んないよ」 「シンに絡まれてるキラを俺が助けたら、俺は世界で一番幸せ者になれたようにね」 キラが何か言いかけたらしいが、どうでもよかった。その日、一晩中キラに何も言わせなかった。 駄文トップへ戻る→ たから箱&キリへ戻る→ *Freedom*What does it mean that they said Freedom and Justice?I understand it is my life and my heartful girlfreiend!!*Justice* いいわけv:アスランはなにげにキラと同じ大学に通ってます。学部は違うけど。ま〜アス×キラだからね。さすがに最後くらいはいい目見ないとね(大笑)こんな長くお付き合いいただきありがとうございました! |
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