34567キリ番リクエスト
−第21話−
「今のうちにエッチしよv」 キラの突拍子もない発想にアスランは仰け反った。顔に文字が浮き出て見えるなら、こうだ。 <何ですと!!?> 「だって女の子とのエッチって初めての経験だし、この先滅多に出来ないと思うし、大好きなアリスとならゼッタイ青春時代の最高の思い出になると思うんだ!」 キラは目をらんらんと輝かせている。 (も…もしかしてこれは、逆襲?) さすがにキラをからかいすぎたのはまずかったか?などとアスランは後悔する。 「さすがに、女の子同士のエッチには興味が………ないんですけど…?」 引きながら、脂汗の立場が逆転した。キラはにんまりした表情でアスランに迫ってくる。 (くそぅ…これが今アリスでさえなかったら!) アスランは脳裏にある常套句を思い浮かべる。 <据え膳食わぬは男の恥!> さすがにアスランといえど、青春まっただ中という点においてはキラとなんら変わらないのであった。 「僕は興味あるv」 アスランの頭の中で何か固いものが割れるような感覚がした。ギリギリ大ピィ〜ンチのこの状況にもかかわらず、頭の中は超高速回転で状況理解と思考を始めた。 わざとらしく、小さなため息をキラに見せる。 「あのねキラ」 「何?何なにっ?今夜僕に全てをさらけ出してくれる?」 「キラが出会ったって言う優しい彼、彼も男なら一応理想とかあるんじゃないかな?」 「は?彼は友達だよぉ」 「でも、格好いいんでしょ?」 とたんにキラの顔が赤くなる。当たりは悪くない。 「キラには優しいんでしょ?その優しさ、誰にでもってわけじゃないと思うけど?」 自分の目の前で、自分のことを思い返しながら真っ赤になってゆくキラを見るのはかなり違和感がした。キラはそんなこと知らないのだ。 「アリスは……僕のこと好きじゃないの?」 「キラは大好きだよ。大好きだから、だからこそキラを傷つけたくない」 「アリス…」 「男って言う生き物はばかだからね。好きになった子ならなおさら初めてが欲しくなるんだって」 「アリスだけよく知ってるみたいな言い方………」 気に入らないらしい。 「元彼はどうだったの?えと…ぉ、シン君だっけ?話してくれた子」 「うん…」 「彼と、その辺の話にはならなかった?」 そして微妙な沈黙が、長く続いた。 「………みたいなこと言ってた…」 キラは、キスとか初めてなの?とか、手…繋いでもいいよなっ………とか。 「そうだキラ、こないだのあの人に思い切って告ってみる?」 「えっ!まだ、そんなの早いよ………」 してやったり! アスランは聞きたかった返事を今ここで全て聞けたと思った。 「早い………って思うってことは、キラも彼のこと好きってことだよ」 あとは、テレビドラマを見てるようだった。本当に、茹で蛸みたいに真っ赤になったキラはそのまま固まり、そして異常にぎこちない動きでアスランの側を離れる。 でもって、部屋の隅っこにうずくまったまま、動かなくなってしまったのだった。 「あ………あのねっアリス………」 「ちゃんと考えて、キラ。ここでフライングしたら、絶対後悔するよ」 キラはやけに晴れやかな表情をして、アスランに微笑んだ。 その顔を確かめて、アスランは自室に戻る。結局課題は、半分くらいしか出来なかったけど。それくらいならキラにだって出来る。あとで内線で電話して、わがままを言わないように諭せばいいだけだ。 「危機一髪……………」 ドアをバタンと閉め、気が抜けたアスランはその場にへたり込んだ。キラに唇が触れ合うかと思うほど迫られ、本気でバレると覚悟していたところだった。 (今日は夕飯をキラと一緒にするのはやめとこう) それはキラの顔をあんな至近距離で見たから。彼女の本気を知ってしまったから。自分がアスランだと知らずに、色気を全開にさせて迫ってくるキラに………正直ドキッとしたから。 部屋着越しにも判る。女の子の身体が、いかに曲線だけで出来ているかという事に。 (鼻血が出なかっただけ、マシだ…) あの時運悪くたらりとでもなっていたら今頃大変だ。アリスはこの3年間のみでキラの前から消えるつもりなのだから。 キラの大事な思い出になるはずなのだから。 (失敗は……許されない………) 改めて、覚悟を己に言い聞かせる。もうひとりの自分は、無責任なことを言いたがっているけれど、焦っては元も子もない。 「ダメだ!アリスの時は、恋愛はしないって…決めたんだ」 アリスの時は、キラに恋なんてしない。キラに恋したまま、隠そうとすればそれはすぐに判ってしまうから。ただでさえ、恋愛に対して敏感になっている年頃の女の子に、そんなことが判らないはずがない。 だから、決めていた。キラに恋はしない。 「恋をするのは、アリスじゃない」 アスランは苦しい自分と戦う。戦って、その欲望を打ち負かさなければアリスではいられなくなるから。 「キラ………俺に、少し俺に時間をくれ」 誰もいない自室でアスランは苦しげに語りかける。心が揺らいではいけなかった。 「キラ…きみに恋してるのは、俺のほうなんだ」 だから、もう少し…友達でいられる時間を……。 「悲しいかな、俺も男なんだよ」 扉の内鍵を閉め、電話にも出ないでアスランはひたすら耐える。今、誰かに入ってこられては非常にヤバい事態だった。 第22話へ→ *Freedom*What does it mean that they said Freedom and Justice?I understand it is my life and my heartful girlfreiend!!*Justice* いいわけv:アスランの扱いが悪いわけではありません。やっぱ人間らしく色々と悩んでもらわなきゃね。 次回予告:やっとこさアスvキラの雰囲気。長かったな…。 |
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