34567キリ番リクエスト

正義と自由

−第12話−

 翌日、さすがに疲れたのかアスランとシンは昼過ぎまで熟睡していた。目が覚めても、あまりいい気分じゃない。

「あ〜洗剤くさい〜〜〜」

「カビの臭いとどっちがマシなんだ!」

「洗剤です…」



 とは言え、換気をしないことには塩素の臭いがあまりにもキツイ。おかげで部屋は綺麗にはなったが。

「朝…ってか、もう昼ですよね?なんか食います?」

「腹に何か入れてから話にしよう。じゃないと、今でも怒りがこみ上げそうだ」


 アスランの嫌味にぶつくさ言いながら、シンはその辺の袋をゴソゴソとあさる。そして固まり、首がきしみをあげながらアスランの方に向いた。

「どうした?」

「賞味期限3ヶ月くらい過ぎちゃってるんですけど、やばいですよね?」


「3ヶ月!?」


 どたどたと音を立てながらシンの側に行き、彼の持っているパンの袋を取り上げた。

「これのどこがパンなんだ!真緑じゃぁないか!シン、新しいゴミ袋持ってくる!」

「はぃっ」


 アスランは一応は袋の中の物全てに目を通したが、やはり袋ごとゴミ袋に入れてしまった。

「見なくても良かった…」



「シン…悪いこといわないから早く彼女作れ。そしたら少しは掃除しようとかする気になれるだろ」

「俺だってキラに振られた傷が癒えてないんだ」

「あ〜その説明なんか食った後にするから。留守番でもしてろ。なんか買ってくるから」

「あ、俺も行きます」

「戸締まりは〜〜〜開けっ放しでも良いか。盗まれて困るような物持ってないだろ…」

「正直。アスランさんが見たアレが全てですから」





 昼食を買いに行く往復50分の間、二人は久しぶりに洗剤の臭いから解放された。さすがに塩素くさいあの部屋でご飯を食べる気にはならなくて、ぶらっと見つけたイートインで済ますことにしたからだ。

 実際、部屋に帰っても、誰も来た形跡すらなかった。


「あ〜カラスが遠巻きに見てる」

「知ってるかシン。カラスは食品の腐敗に敏感なんだ」

「え?いつもゴミあさってるから、何でも食うんじゃないんですか?」

「違う」


 実際カラスは肉食性の強い雑食の鳥だ。しかし、非常に記憶力が良く、殊に腐敗に関しては敏感に反応する鳥だとは意外に知られていない。

 食べ物を見つけたら、空腹時のために貯蔵する習性があり、隠した場所、食品の種類、腐敗の速度を完璧に頭に入れている。そして、賞味期限の近づいたものから順番に食べていくのだ。

 ちなみに最高で200カ所以上の貯蔵食を記憶していたカラスがいたらしい。



「へぇ〜。すごいんですね、カラス」

「だからカラスはしつこいんだ」


 ところがこの部屋の食品は、完璧に腐っていて、カラスさえ寄ってこなかったらしい。

「あれだけのもの、もったいないだろ…」

「ぅん、まぁ…そうですね。気を付けますっ」



「じゃ、シンいいか?肝心の話に入るぞ」

 1年ぶりのキラの話に、シンののどがごくりとなった。

「えっ……と、キラが君の友人とのことで、悩んでたってのは聞いてたな」

「はい。確か…ぇえ〜〜〜と………」


「半年前くらいだ」

「ぁ…そうそう」

 アスランは突っ込まずにはいられない。

「大丈夫か?君の記憶力」

「ちゃんと使い分けてますよ〜」


「まぁいい。じゃ、俺がキラから聞いた話なんだが……あっと、俺が今から言う話は彼女の意向を最大限尊重した話だからな」

「判ってます」



「これはあくまでも彼女の意見なんだが………」

 アスランは、キラからの話をかいつまんでシンに話した。そう時間もかからずに、シンの顔が真っ青になる。



「何でッそうなるんだ!」


「そんなこと俺が知るか!だから最初に言っただろう!これはあくまでもキラの意見なんだって」

「判ってますけど…」

「そりゃ、俺が君の立場でも納得は出来ないだろうさ。だが、とにかく最後まで聞いてくれ」



 ………結局、何がどうだったのかというと。たいがいこんな話であった。

<シーン1>レイがシンに耳打ちする。

「キラが先に帰るみたいだが、今日は一緒に帰らないのか?」

「ぅん。いいんだよ。今日は職員室に寄る用事があるから、遅くなるって言ってたから」

「そうか」

「それよりも、サンキュな。心配してくれて」

「ああ」

 という、別段なぁんと言うこともない会話が、周囲の女の子達にかかるととんでもないフィルターがかかる。

「ね…キラ?ホントにシンのこと、いいの?」

「何が?」

「なんかね、バレル君に耳に息吹きかけられて、真っ赤になってたよ」

「ゥソ………」



<シーン2>デュランダルが迎えに来る。

「久しぶりだね、レイ。修学旅行は、楽しかったかな?」

「はいっギル……」

「じゃぁ帰ろう」

「ギル…いつもごめんなさい」

「仕方ないじゃないか。ご両親の出張くらいで気にすることはない。伯父として当たり前のことだよ」

「はい」

 でもってこれが当然。

「アレアレ!あの人ってさ、絶対バレル君のいわゆる”別のパパ”だよね」

「なんかミョ〜にイチャイチャしてるよね。バレバレだよね」

「なんか外見から嫌らしそうだよね〜。あっ、バレル君真っ赤になってる」



「キィラ〜、絶対近づかない方がいいわよ…。シンだって判らないよ、いつ彼の餌食になるか」

「シンはそんなことないよ」

「男の浮気心を舐めちゃいけないわよ。私だってこないだ、好きな子が出来たって言われてそれっきり。冗談じゃないわよねぇ…」

 などと変換される。

 更にはレイがかなり無口で彼女たちの誤解を解こうとしないところが、更に事態に拍車をかけていた。そんなことが積もり積もると、さすがにキラだって辛くなるのだ。


 でも当のシンにはこんな話言い出しづらくて。それとなく友達より自分のこと見てて欲しいとお願いしたら、アッサリ却下された。


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*Freedom*What does it mean that they said Freedom and Justice?I understand it is my life and my heartful girlfreiend!!*Justice*
いいわけv:なんというか………シン、ごめんね。扱い悪くて。
次回予告:アスラン無断外泊………となりゃぁ当然…(笑)

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