第9話

 

「どこかに縛りつけときましょうか?」

 

「マリューさん…それもうやった……」

「……え?」

 

「脱出早かったよ。ヘビみたいに、こう…身体をくねくねさせてさぁ〜……そしてそのまま僕にダイブしてきた……」

 

「……………ウソ………」

 

 

「そりゃぁ、キラを愛してますから〜♪キラのためならたとえ火の中水の中〜♪」

 

 

めこ!!!

 

 

 巨大ハンマーがアスランを押しつぶした。紙のように薄くなったソレを、怒りに燃えたキラが素早くくしゃくしゃに丸め、そしてゴミ箱に突っこむ。

 

「今のとこ、コレしかないみたいなんだよね。…ってコレも、効かないって言えば効かないんだけどね……。復活早いから………」

 

 

「どこでそんなこと覚えてきたのでしょうか?」

「軍でもそんなこと教えないと思うんだけど……」

 ちらりとバルトフェルドを見やる。彼は苦笑しながら否定した。

 

 

「……だよね。これからずっとこんなだと思うと、正直気がめいるんだよ。せっかく幸せになれると思ったのに……」

 ガクーと肩を落としたところに、不意に両肩に生暖かい感触がした。

 

 こんな事ができるのは、あの男しかいない。

 

 

「任せて!キラ…絶対に俺が幸せにするから!これから一生ずっと「不幸の原因は君なんだよヘンタイぃいい〜〜〜ッ!!!」

 

 

 キラにひっぱたかれても、アスランは場違いなほどさわやかな笑顔を崩さない。こんな笑顔、カガリにでも向けときゃ何の問題もないのに、とキラは思う。

 ところが困ったことに、この男ときたらキラには向けても、カガリにはスルーなのだ。

 

 絶対間違ってる!と、キラは思う。

 

 

「確かに復活早いわね…」

 

「ああっ!なんてコトでしょう!ゴミ箱が変形してますわ……」

 ラクスの横でバルトフェルドはひたすら苦笑している。

 

 

「だから…言ったでしょう……余計な、体力だけは…あるってッ」

 

 再びハンマーが落ちてきた。

 

 どぉんという音とともに再び紙状になったアスランを素早く丸め、新聞紙でくるみ、ビニールひもでくくり、ガムテープをかけ…そしてボール状になったソレを力一杯金属バットで打ち飛ばした。

 

 カキーーーンと、小気味いい音が響いた。

 

 

「うひゃ〜飛んだなぁ〜」

 

 そしてソレは、海に落ち、波しぶきが立った。

 

 

「ラクスっ、こんなのだけど、何とかなるものなら何とかして!切実だよ、僕…」

 

「……。解りましたわ!」

 

 

 ラクスの瞳もギラついていた。そして少し話が進んで、互いの結束を確認したところで、

「キラ!水も滴るいい男になって帰ってきたからッ!コレで俺も海の男♪惚れ直した?」

 

 

「確かにヘンタイね……。しかも磨きがかかってきたような気がするわ………」

 

 マリューが心から気の毒げな視線をキラに向け、大きなため息をついた。

 

 

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言い訳v:変態街道驀進中……ま、長くは続きませんから(冷汗)

次回予告:ラクスの思惑、それは暴走するアスランを一発で黙らせるものだった!一転して紳士になったアスランに、キラの不安は最高潮に。果たしてラクスの対抗策とは?

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