第10話
ラクスは決意を固めていた。
「キラ!わたくしこれからお買い物に行ってまいりますわ。バルトフェルド隊長、アスランをよろしくお願いしますわね」 「え”…っ!!ちょっと待ってよラクス〜。ぼくはっ…その間の僕の身の危険はっ…」
「だいじょうぶさキラ!たとえ宇宙からバケモノがやってきたとしても、俺が君を守ってみせるからね!」
「バケモノは君!」 キラのキツイ一言によって、アスランは一瞬フリーズする。
…ところが……、
「ナイトと言って欲しいな。正義の騎士…そう!ナイトジャスティ…「ふぅ〜ん、そんなに下敷きにされたいんだ?MSの」 アスランがさすがに引きかけたところに、ラクスがギッと睨みつけた。
「アスラン!お話があります」
先ほどまでの情熱はどこへやら。とたんにアスランの口調は冷めてしまう。強敵との認識でもあるのか、あからさまに警戒しているさまが見て取れた。
「何でしょうか、ラクス」 「まぁ、その棒読み口調のかわいげのないこと!」 「そりゃぁ、相手がほかならぬあなたですから」
ラクスはアスランになにがしか吹き込んだ。すると、アスランは一瞬顔をゆるませたかと思うと、急にキリッとした表情をして「判りました。それで手を打ちましょう」と言い、大人しく引越し準備にいそしみだした。
「ラクス〜〜〜」 「はい?」 「ねぇ、なんて言ったの?何かすっごく怖いんだけど…気のせいじゃないような気がするんだけど……」
「キラ…わたくしはキラのために資料を手に入れに行きますの」 「資料?」
「ええ。キラ、わたくしはいつでもキラの味方ですわ。キラへの愛は今でも変わっておりませんの。キラは…違いますの?」
「ぼっ僕だって、ラクスは大好きだよ。でも…だけど……アレ見てよ!なんかあからさまにオカシイよ!!!エスカレートしてるよっ」
指さした先には、ゆるみっぱなしの表情をした、至極機嫌のいいアスランが、以前よりひどい鼻歌を響かせ、スキップしながら重いダンボールを運んでいた。その足取りは、常人ではあり得ないほど軽やかだ。
「……………」
「まぁ、気持ちは判らなくはないですけど。やはりそれでも一致協力して作戦を遂行する必要がありますわね…」
「……だから!なんて言ったの?ラクス〜〜」
「交換条件として、キラとの結婚式を提案しただけですのに……」
言い訳v:女の子になっても、ラクスはキラのことを好きでいます。彼女らしい愛情表現の前フリを書きたかったんですよ。 次回予告:ラクスはウソは言っていないが事実の全てを言っているわけではない。浮かれるアスランと黒ラクスの瀬戸際の攻防は続く……。 |
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