第11話

 

「ヤメテエェエエエエーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!やだっ…やだっ……そんなの、絶っ対にやだぁあああっ!」

 

 キラは金切り声で叫んだ。そして泣きながらラクスにすがりつく。

 

 

「でも…キラ……」

 

「ラクスっ、ねぇ、ダメなの?ここにいちゃダメなのっ?僕とアスランの結婚式って…そんなコトしたら、今度こそ本当にアスランにヤリ狂われる!僕はダメになっちゃう〜〜〜」

 

 キラは泣き叫ぶ。

 

 さもありなん。目の前では鼻歌が進化しつつあり、結婚式の歌(即席)ができつつあった。

 

 

「楽しみだよね、結婚式ぃ〜♪俺たちのぉ〜結・婚・式……あ…でも、待てないなら良いよ。今からでも寝室行こう…「マリューさんっ!ローエングリンの使用許可をッ!!!」

 

 キラが言い終わる頃、ラクスが曲がった金属バットでアスランの頭を容赦なく打ち飛ばした。

 それでもアスランは復活する。

 

「大丈夫ぅっ♪驚かせないように、優しく〜抱いて、あ・げ…「カガリんとこ行ってくるぅ〜〜〜ッ!!!」

 

 

 キラが玄関に走っていこうとすると、アスランがさすがに慌てた。ラクスに首根っこをつかまれていて前には進めないものの、どうやら精いっぱいキラの機嫌を取ろうとしているようだ。

 

 

「まっ…待てっキラ!考え直してくれ。ちゃんとキラのことだけを考えるからっ…一生浮気なんてしないし、ベッドの上でだってもっと優しくするからっ」

 

「違ぁ〜〜〜う!僕の言いたいことはそんなことじゃないよっ」

 

 

 その時、アスランの背後で渋い顔をしていたラクスが、ふるふると首を横に振ったかと思うと、空いてる左手で財布をひらひらさせ、キラにウィンクして見せた。

 何のことだか判らず、一瞬とまどったがすぐに何となく思い当たって、家を出ていくのを思いとどまった。

 

 

そして、

「優しくしてくれるなら、僕に触らないで!ヘンなこと言わないで!」

 

 

 かなり棒読み口調だったが、その一言でアスランはカクカクと首を何度もたてに振ると、キラに満面の笑顔を向け、ウィンクした。

 とたんに気分の悪くなったキラが、口元を押さえながら自室へダッシュして行ったのは言うまでもない。

 

 

「さぁ、アスラン!私たちはちょっとお買い物に行ってまいりますわ。でも……判っていますわね?」

 

「ええ!ラクス、あの約束は本当なんですね?」

 

「残念ながら、ウソではありませんわね」

 

「判っています。心も、身体も、そして体面上もキラを手に入れるまで…俺は絶対にあきらめませんから!」

「相変わらずかわいげのない人ですね。わたくしからキラをさらっていったというのに」

 

 

「いいえ!本当にキラが必要としているのは、あなたでなくて俺だったということなんですよ。それを俺はよく知ってますから……ふふふ」

 

 

 紺色の変態は、勝ち誇ったようにそう告げた。

 

 

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言い訳v:ハピエンは決定事項なんですが、所詮コメディですから(冷汗)

次回予告:珍しい展開。ラクスの地団駄、紳士すぎるアスラン、そして悲壮感を隠せないキラ!ところがラクスはタダでは転ばない。据わった目の奥底にあるものとは?

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