第12話
ラクスは大きな書店にいた。天井まである大きな本棚とにらめっこしながら、隣にいるマリューよりも多少鼻息が荒かった。
「まぁ!あんなことをぬけぬけと!いつからあんな大言壮語を吐く男になったのでしょうか!」
あまりの憤慨にさすがに周囲の視線が集まる。彼女がラクス・クラインだと気づいた人たちと笑顔で握手を交わし、たっぷり愛嬌をふりまき、再びにらめっこに戻った。
「ラクスさん……」
「確かに…アスランが言ったことは本当ですの。あの日、キラが助けを求めたのはわたくしではなかったのですから……」
「だから、結婚話を…?」
「アスランは確かに変態ですけど、あのへたれさんには他人に関係を無理強いするほど、度胸はありませんわ」 「アスラン君だって、判っててそうなった訳じゃないとは思うけど…ちょっとあの様子じゃ、信じられないわよね」
「偶然に偶然が重なってしまったとはいえ、やはり腹立たしいですわ〜〜〜」
ラクスはそう言いながら、目の前の本をパラパラとめくっては、これはと思うものをピックアップしていった。
夕方、ラクス達が帰ってきた。
「キラ!大丈夫でしたか?」 「ラクス!僕は大丈夫だった。なんか、恐ろしいくらいにアスランが何もしてこなくなって…でも何だか、よけいに怖いよ」
「何かあったのですか?」
「何もしないから…。それに、なんかヘンに優しい言葉とかかけてくるんだよ。「大丈夫か?身体辛いようなら、休んでるか?」とか……もう、気持ち悪くて気持ち悪くて!」
ちらりとアスランを見やると、幸せそうにニコニコ微笑んでいる。いつもならここで訳のわからないことを言いながら、勢いよくダイブして来るというのに。大人しすぎてやたらと気持ち悪かった。
しかもさわやかな笑顔でラクスを迎えたりして、
「ラクス、お帰りなさい。用事はもう済んだのですか?」 などと言っている。
「……………。確かに……」
周囲にいた者は鳥肌を立て、ある者は呆れ、ある者は真っ青になってブルブル震えだしていた。
「キラ!あなたにお見せしなければならないものがあるのです。わたくしの部屋へ」 「あ…う、ん」
返事をしつつ、ちらりとアスランを見やると、アスランはニコニコしながら「行っておいでv」とジェスチャーしている。
「ラクス〜〜〜!怖いよ〜〜!怖いよ僕ぅ〜〜〜〜〜!!!」
キラは涙目になってラクスにしがみついた。
言い訳v:変態への不信感をプンプンさせたまま、アスランを気にしだすキラ…難しかったよ(笑) 次回予告:ラクス真っ黒!吊られるキラの容赦ない一言に、アスランは愕然とする……。次回、謎に包まれたラクスの秘策が判明します! |
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