第13話

 

 ラクスの私室の卓上に山積みになった書籍やディスクの数々に、キラは一瞬引いた。

 

 

「何………これ」

 

「さ!キラはこれからお勉強ですわ!」

「僕が…こんなに、読むの?」

 

「もちろんキラだけではありませんわ。わたくしたちもちゃんと頭に入れておかないと、大変なことが起こってからでは遅いですものね」

 

「………もう、遅いような気もするけどね」

 あきらめてキラは何気なく雑誌を手に取った。そしてすぐにラクスに視線を戻す。

 

 

「……………。ラク……ス………?」

 

 

「はい!一番賢いアスラン対処法ですわ」

 

「………コレ、が……?」

 

 

「はいっ!これほどピッタリな資料はありませんわ!早速お勉強いたしましょう!!」

 ラクスの言う資料、それはざっと以下のようなものであった。

 

 

『犬の心理学〜愛犬の心を知ろう〜』

 

『しつけトラブル、即座に解決!愛犬フレンド別冊』

 

『愛犬の考え方、飼い主の対処法〜愛犬のマナーとしつけ〜』

 

『初心者シリーズ 愛犬の飼い方としつけ』

 

『自宅で簡単!褒めて覚える犬の訓練マニュアル』

 

 

「………ラクス?コレ…どう見ても犬のしつけ本なんだけど………」

 

「その通りですわ!」

 

「役に立つの?」

 

 

「アスランは、犬ですから」

 

 

「………はい?」

 

 

「性格的に犬なのですわ。基本的に臆病で、でもそれを悟られたくなくて強がっている。怒られるとへたれますけど、褒められるとすぐに忘れて懐いてきますでしょう?」

 

 

「……………た、確かに…そうだね」

 

 キラの瞳が宙をさまよい、となりでマリューがぷっと吹いていた。

 

 

「だから、本物の犬にしか通用しないところはスルーして、都合の良いところだけ目を通しておきましょうか」

「そう、ですね。マリューさん……確かに、それがいいと思います」

 

「まぁ、エサとか排泄とかは関係ないものね……」

 

 

 言いながら、マリューは笑いをこらえられなかった。ごめんなさい…と、何度もキラに謝りつつ、雑誌を見ながら腹をかかえる。そして。初めは和気あいあいと読んでいた3人は、いつしか真剣な表情になり、そしてお互いの意見をマジメに議論しあっていた。

 

 

 夕暮れ時。部屋をノックする音が聞こえた。返事をするとドアがかちゃりと開く。アスランだった。

 

「キラ…ラクス、食事にさそいに来たんだけど、都合はいいかな?」

 

 

 しばらくアスランをぼうっと見つめていたキラはあわてて本に視線を戻し、再びアスランをまじまじと見てつぶやいた。

 

「………。う〜〜〜ん……去勢、かぁ………」

 

 

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言い訳v:参考資料は自宅にわんさか「犬のしつけ本」の数々(名前は変えてあるけどね…笑)だってあるもんよ…。書籍とか、月刊雑誌とか。ま…わんこつながりってことで(ぇへへ〜)

次回予告:アスラン絶叫!後ろめたいことだらけのキラはほだされていってることにてんで気づいていない。さぁ、話が再び動き出します。

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