第6話
「それはね、出来ないんですよ。ヤマトさん……」
「な…んで、ですか?」
「気づくのが遅かったと言ったらそうなんですけど、もうかなり育ってるんですよ。エコー見ますか?」
なにが何だか分からないまま、勧められるままパソコンのディスプレイに視線を移した。そこにはもう顔かたちが判るほどの小さな命があった。
「…………あ………」
キラの瞳から涙がこぼれた。 「じゃぁ…産みます」 「キラ…?」 「ヤマトさん……」
「僕だって、望んだ子じゃないかも知れないけど、もうこんなに育ってるんだし。今更殺すなんて出来ないし……それに、知らない人との子供じゃなくてよかった。アスランだって、産んで欲しいって言ってくれるんだし……それだけは幸せ…だったかな?」
「キラぁぁあああっ」 「抱きつかないで!アスラン。気持ち悪いからッ」
「けど、今更なんですけど、僕はなんで急に女の子になっちゃったんでしょうか?」
「う〜ん、それは私にもよく判らないんだよ。DNA解析で権威だったデュランダル博士なら、何か解ったのかも知れないが、彼はあの戦争で亡くなられているしねぇ」 「そう…ですか……」
「私の推測の域を出ないなら、こうだ。もともと、君の染色体情報はかなりあやふやなものでね。それはきっとそういう風にコーディネイトされているのだから、仕方がないのだろう。それが何かの心のゆれ動きで、どっちかに傾いたってことじゃないかな?」
心のゆれ動き、というところでキラ達は引っかかりを感じた。 なぜなら… 「え?…でも、あの時政治の話しかしてなかった…よね」 「そう、俺たちがMSのパイロットだったから、もしかしたらって話だったよな?」
医師は何かに気づいたかのように、妙に古くさい動きで両手をポンと鳴らした。 「それかも知れませんよ!世界を守らなきゃいけない…守る……それは、母性本能なんですよ」
絶叫タイムは再びやってきた。
次回予告:ラクス苦渋の決断!それはキラを絶望へ、アスランを夢の世界にトリップさせるものだった。しかし、ラクスには何やら別の思惑がある様子。キラの運命やいかに(笑) |
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