第5話

 

 翌日からは雨。赤道近くの雨は、プラントのそれとは比較にならない。キラ達は大事を取って、1週間邸内にカンヅメになった。

 

その間も、くり返された痴話ゲンカは、もはや喜劇と呼んでさし支えなかろう。この間に、復活撃沈劇は3,641回確認された。(記録者B氏)

 

 

 そして雨上がりの日。無理矢理緊急休暇をもぎ取ってきた国家元首カガリ・ユラ・アスハがやって来て、懲りないシカバネを完膚無きまでに叩きのめしたあげく、転属を言い渡して帰っていった。

 

「カガリさん…怒ってたわねぇ……」

「そんりゃぁ、一度は将来を誓った相手に浮気され……それだけならまだしも、相手は彼女の双子のきょうだい………しかも、一夜の過ちってんじゃぁねぇ………」

 

 

「し〜くしくしくしく………。僕って、なんて不幸なんだろ………」

「心配するなよ。俺がちゃんと…「元凶は黙ってろッ!!!」

 

 

 午後。カラリと晴れた。空気もきれいだ。風を切って車は進む。

「これでこの中にキミとの子供なんかいなきゃね…」

 

「そりゃ!俺とキラとの愛の「キミも一緒にこいって言われたから、連れてきてんの!なんならまたカガリ呼ぼうか?」

 

 アスランは真っ青になり、うろたえ、そして大人しくなった。しかしそれでも機嫌を伺うかのようにキラを横目でちらちらと見る。気づいてはいたが、あえて無視を続けることにした。

 

 

「…………ありがと」

「…なにが?」

「安全運転…。一応、気を遣ってくれたんでしょ?」

「そりゃぁ…もちろ」

「そっから先を言うな!」

「はいはい♪」

 

 むくれるキラとは対照的に、アスランは上機嫌で病院のエントランスをくぐった。

 

「順番、あと3人だって」

「ふぅ〜ん…」

 キラが恥ずかしがるのでアスランが、受付で診察カードを受け取ってきた。キラはというと、ここに至ってもイマイチ気乗りのしない様子だ。

 

「みんな普通に結婚して、普通に子供できてるんだよね。僕みたいなのは…いないよね」

 

 

 少し寂しそうに、「彼女」はそう言った。

 

 

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次回予告:キラ女の子化の秘密が今明かされる!?ほろりと落ちるキラの涙の訳は?そしてアスランはなぜか狂喜乱舞する。

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