第25話
女性陣主導の宴会は、せっかくの勇気を萎えさせる。 キラをボーっと見続けているアスランをよそに、ディアッカは彼女たちのなかに混じって楽しそうだ。 そして彼女たちは楽しむだけ楽しんで、後かたづけを全部男どもに押しつけ、帰っていったのは日付が完全に変わってから、という有様だった。 「眠い……僕、酔っちゃったのかなぁ?」 「は?キラ、お酒は出てなかっただろ?」 「う〜ん……なんか、みんなが来てくれて、楽しかったから〜」 「……そうだね」 「ね、もう寝ちゃう?」 ほろりとした笑顔がアスランに向けられる。アスランはなにかを決意し、キラのそばに近寄り、間合いを詰めた。 「どしたの?」 これはチャンスだ!直感的にそう感じた。 腰に手を回して引きよせても、あらがわないのを確認して、心の中でホッとため息をつく。 「あ…あのさ、キス……していい?」 キラは一瞬吹き出して、それから笑った。 「するんでしょ?……ってか、できなきゃヤバいんでしょ?」 「ぅ…うん」 キラが瞳を閉じる。 のどがごくりと鳴った。 勇気を出して顔を近づけてみるが、どうもいい調子に行かない。触れるか触れないかの瀬戸際で、なおも躊躇しているとキラの顔が真っ赤になっているのに気が付いた。 自分の腕も、震えが止まらない。こんな事でもキラを不安にさせているのだろうと思い、これではいけないと自分を鼓舞した。 一生分の勇気を出して、ゆっくりとキラに重ねる。 考えていた以上に、キラの唇は、温かくって…柔らかかった。 (やった!キラに…キスした!) 自分でもヘンな感動を覚えて、改めてキラを見ると、驚いた表情をしていてそそくさとベッドに潜りこんでしまった。 「キ、ラ………?」 「あ、ごめんアスラン……ごめん」 「あ、俺…なんかマズいこと、した?」 「違うよ!アスランのせいじゃないんだ。僕が気にしすぎるのかも……」 「じゃ、俺別の部屋行くわ」 そう言うと、大慌てでアスランを引き留めた。 「大丈夫!大丈夫だから、ここで良いから!」 ところが翌朝からキラが目を合わせなくなった。 声をかけようとしても、なにかと理由をつけて、避けたがっている。どうしても、と言って引きよせるとキスには応じてくれる。 応じてはくれるものの、キラはその度にびくりと震えるようになった。 嫌いになったかと聞くと、その度にそんなんじゃない、と答えてくれる。アスランは訳がわからなくなった。 「なんでだ!」 昼過ぎに、ベランダで電話をかける。相手は勝手知ったるディアッカ・エルスマン。 「知るかよ!俺が。キラにでも聞いてみれば?そこにいるんだろ?」 「いることにはいるけど、ずっとうつむいたままでなんにも答えてくれないんだ。なぁ、俺のやり方がまずかったのかなぁ?俺はもう嫌われちゃったのかなぁ?」 「お前さぁ、一つ確認していいか?」 「何を?」 「そんな調子で、後一日半でなんとかなるのか?」 「………ハッ……!」 おそるおそるカレンダーを見やる。 赤いマジックでマルがついてる日は、もう目の前に迫っていた。 第26話へ→ 言い訳v:へたれぶっちぎり(笑)う〜んキラちゃん…今から考えるとすごい変わり様。ま、女の子はいったん腹が据わるとね(笑)強いからv |
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