第20話



「バカ!」←この辺が双子

 その一言はアスランの身体を電流のように駆けめぐった。全身が段々白く灰のようになっていく。瞳からは涙まであふれてきた。



 このまま見てたらどうなるのだろうかと、キラはちょっとだけ期待しかけたのだが、それ以上にそこはかとない罪悪感がひしひしと押し寄せてくるのを感じていた。


「何固まってんのさ、おいしいのに…冷めちゃうよ、ホイル焼き」


「ぁ……ぅん」

 青緑の瞳から涙が止まらない。これではさすがに気が引ける。



「冷めないうちに早く食べちゃいなよ。食べたら行くんでしょ?」


「………ぇ…どこへ?」

「あんぽんたん!君しか知らないんでしょ!そこはッ」





 言われて初めて気が付いたことがある。


「キラぁぁあああああ〜〜〜〜〜っ!」



「………ハロいるよ」

 目の前には、なんとハロに「往復びんた」されている珍しいアスラン・ザラの姿があった。





 午後11時前頃、地下駐車場に一台の車が滑り込み、なかから男女が出てきて、IDカードをセキュリティに通していった。

 704。そう書かれたドアを開け、中に入り、あまりの広さに呆然とし、そして寝室でアスランの頭は張り飛ばされた。



 「キ、ラ…一つ、頼…みが、ある」


 「何かあったかな?」

「せめて殴られる前に、理由を聞きたいなーって思うんだけど」



「理由!?この状況で聞く?フツー!ああごめん、僕視力落ちたのかなー?目の前にあるのが、どぉぉ〜〜〜してもダブルベッドにしか見えないんだよねー」


「いや見間違えようもなくダブルベッドなんですけど」



 キラの表情は固まり、「じゃ!」と言って手をひらひらさせ、玄関に向かって歩き出した。



「まっ待てっキラ!何がいけないんだ」


「君の泣き言を信じた僕がバカだったよ。やっぱり僕はシングルマザーでいいや!」



「そんなこと言わないでくれ。確かに何の相談もなく決めた俺も早計だったと思うけど、コレは俺の夢だったんだ」


 「じゃぁ、そのまま夢の中に住んでなよ」



「だってキラ、俺父に呼ばれてプラントに帰ってから、両親の仲良さそうな姿見てないんだ。父上はずっと評議会ビルから帰ってくることはなかったし、母上はすぐに転勤願いだしてユニウスセブンに行っちゃったし……」

 「あー泣き言もういいからー…」


「だからさキラ、俺は絶対そんなコトさせないって、ずっとそう思ってきたんだ。母上の呆れ果てた顔見てきたからさ………」



「………ぁ……レノアおばさん………」



「うん、だから…俺、絶対一緒になる人は哀しませないって、心に決めてたから………だから、キラのことも精いっぱい幸せにするから、もう少しここにいて欲しい…」


 レノアの話を出されてはキラも弱い。ザラ家に泊まりに行った時も散々お世話になった。何かのおりにヤマト家に大量の野菜をくれる人でもあった。

 時々新作とか言っては虹色のキャベツをくれたりして、たびたびカリダを困惑させてはいたが(味はよかった)。





「ごめん、アスラン。ここんとこアスランやたらヘンになっちゃってて、僕まだちょっと疑ってるのかも知れない」


 寝室入り口の廊下で、アスランはキラの身体をふんわり包み込んだ。





「ぅん……俺も。……ね、キラ……キスしよっか?」


 言い終えた頃、アスラン・ザラの顔には見事にピンクの球体がめり込んでいた。


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言い訳v:ひゅうひゅう〜♪へたれアスラン〜〜(笑)いんやぁ、今までの調子だと簡単にアスについてくハズはないので、ハロをつけてあるんです。ラク姐の分身ピンクハロは最強ですだよ(大笑)今回は往復びんたですから(爆笑)

次回予告:二人にはキスを急がねばならない理由があった。現実味を帯びた結婚話に、ついにキラは「腹をくくった」。しかしまたもや事態は思い通りにならない。ここに至って、アスランのへたれっぷりがゆるゆる発現してきた……。

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