第2話

 

 振り向きざま、僕はそう怒鳴った。いくぶんぽっこりしたお腹が最近やたら重い。



「僕は男の子なんだよ。おめでたなんてあり得ない話だよね!」

 

「イヤ…だって、さっき担当医が……」

「認めたくないけど、絶対食べ過ぎによる肥満だよ!だいたい何が、どうしたら僕に子供なんて出来るのッ!?」

 

「………。そりゃぁ……俺とヤッちゃったからだろ?「言うなぁぁあああッ!!!」

 最高のアッパーカットが見事に決まった。血しぶきを上げて地に伏すアスラン。

 

 

「僕は男の子!産まれた時から、ついこないだまでッ!」

「でもキラ…今はどこからどう見ても女の子だよ………」

「それだよ問題は。医師は両方の遺伝情報があるみたいなこと言ってたけど……」
 

 キラは続ける。

「もしかして「最高」って、そういうことなの?僕の身体を完璧なものにして…それで……自分と自分との子供を自分で産めとでも言う気?」

 

 

「イヤ…だからキラ、今キラがそうなってるのは、あの時俺とシちゃったから「やっかましいわーーーーーッッ!!!!!」

 血の筋が弧を描いた。5メートル後ろにシカバネがあるが、キラはもはや気にしようともしない。代わりに、大絶叫がオーブの島に響き渡った。

 

 

「ヒビキ教授のバカァーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!」

 

 

「キラぁ…」

 アスランが背後からキラの肩を抱く。

「うわっ!ゾンビが復活したッ」

「そういう言い方はないだろ!俺たち幼馴染みじゃないか」

「幼馴染みで知りすぎているから遠慮がないんだよ!」

 

「でもキラだって……あの晩………」

 ひどい剣幕だったキラが言いよどむ。急にしおらしい表情になって、それは彼に可愛いと思わせた。

 

「そ…っ、そりゃぁ…あの時はびっくりして……身体熱くて、なにが何だか分からなくなっちゃって………」

「うん」

「でもっ、普通急に女の子になっちゃったりしたら、誰だって不安になるよ!!誰にだって、その、気の迷いとか、一時の過ちって……あるよねっ」

 

 あの晩のことが脳裏によみがえる。

 

 

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次回予告:気になる世界情勢!場違いなほどまじめな話……にはならなかった。アスキラきょうだい痴話ゲンカ勃発!

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