第18話
その日の夕方、アスランはキチンと戻ってきて、そしてキラを食事に誘った。 「………ヤダ!」 即答された拒絶の言葉にも、アスランは苦笑するだけで引こうとはしない。 「一緒に食べに行くだけだろ?」 ところが、こんな紳士なアスランほど怖いものはない。それはキラの心に深く植えつけられていた。いったん植えつけられた不信感は、そうそう拭い去れるものではなかった。 「食べるならみんなと一緒に食べに行く」 「そう言うわけにはいかないんだ」 「何で?」 そう言いつつ、キラの姿勢は引き気味だ。ダッシュをかけようかと迷っていたところを、一瞬のうちに腕をつかまれてそのまま引き寄せられた。 「や!ちょっと、離してよ……」 「キラに……いや、キラにだからこそ話があるんだ。ヘンなことしないから、俺と来てくれないか?」 「今さらそんなこと言ったって、信じられないよ………」 なんとか腕のなかから逃れようともがいてみるが、今日のアスランに限って強い力で抱え込んできて、思うようにならない。半泣きになりながら、わらをもすがる思いでラクスに視線を移す。 ラクスは、しばらくまじめな顔で考えていたが、ややあって重い腰を上げた。 「食事に誘いに来てキラを抱きしめる必要はないと、あの時も申し上げたはずですが…」 ピシャリと言われるどうでもいい事実。ラクスの視線に、しばらくアスランも応じて一触即発の危機かと思われたが、しごくまじめな表情でまじめな話を申し出てきた。 「俺とキラとのことに、ラクスたちを巻き込む必要はありません。俺はキラと二人でどうしても話しておかなければならないことがあるんです」 「……………。確かに、そうですわね。今日あなたがした強引なことは許せませんけど、仕方ありませんわ。ピンクちゃんをつけるなら、許可いたしましょう」 「ラ〜〜〜ク〜〜〜ス〜〜〜〜〜っ!!!」 キラが悲壮な表情をして救いを求めてくる。しかしラクスはそれを強い心ではね除けた。 「キラ!ピンクちゃんがいますから。アスランがちょっとでもおかしな事をしたら、このピンクちゃんがアスランを退治してくれますわ」 「でもっラクス……っ」 「よく考えてくださいな、キラ。これはいずれ嫌でも通らねばならない道なのですよ」 「そうだよ、キラ。……だから、ね?」 そう言って額に口づけようとしたアスランの顔面を、ピンクの球体が異常なスピードで張り飛ばした。可愛く光ったハロの目がひどく凶悪なものに見える。 「くぅぅ!いつの間に!確か当初はこんな機能は付けてなかったはずですが………」 「わたくし、ピンクちゃんがとてもお気に入りですの。そしてピンクちゃんもわたくしのことが大好きなのですわ」 ラクスはけろりとしている。 「そんなことを聞いているんじゃありません!」 そのころ、原因の一端が、気づかれないように抜き足差し足で玄関から逃げていき、それを見たマリューが、笑いをこらえるのに必死になっていた。※寅さんです(笑)
言い訳v:ピンクちゃん……実際に持ってみると意外に重みを感じます←はい!秋山の家にはあります!あのピンクちゃん(学習機能付実物大おもちゃ…でも時計)が。本当に耳がパタパタして可愛くて本当によくしゃべります(笑)ただ…アノ機能が付いていないのが残念←ありえない………。 |
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