第17話

 

 

 昼過ぎ、珍しくアスランがいない平和を満喫していた時間は一変する。キラの携帯に着信がかかった。自分の携帯電話をつまみ上げながらキラはラクスに救いを求めてくる。

 

「ねぇ、ラクス…これ、出るべき……?ラクスじゃダメかなぁ?僕が出るべきかなぁ?」

 着信音はひたすらなり続いている。

 

 

「残念ですが。わたくしが出ればアスランは速攻で切るでしょうね…。大丈夫ですわ、キラ!こうしてわたくしも付いてますもの。訳のわからないことを言ってくるようでしたらわたくしが替わります!」

 

 キラは晴れやかな顔に戻って、電話に出た。となりでラクスが昇天していることなど気づいていない。

 

 

(ああもうダメ!なんて可愛らしいのでしょうッ!!!わたくしがキラを独り占めできたらよかったですのに〜〜〜〜〜!もう、神様のばかぁばかぁっ!!!)※ピンクオーラ振りまき中。

 

 ラクスが自分に酔っている間に、事態は急変していた。

 

 

「え…っ、ちょっと待ってよ!アスラン!僕何にも聞いてないよ!」

 

 キラの動揺…周囲に緊張感が走る。オーラの色も一転した。

 

 

「どういうこと?一体、何がどうなってるのさ?……え?ごめん…って、イヤだからそんなことはどうでもいいよ!よく判んないよ、ちゃんと最初から言ってよ」

 

 

「……?キラ?何かあったのですか?」

 

「え?今から?そんな、早すぎるよ!まだ何にも決めてないじゃん!………もぅッ!!!」

 

 

 キラはヤケになって電話を切る。ラクスが再びキラの顔をのぞき込んだ時、キラは真っ白になっていた。声をかけども、手をひらひらさせども一向に反応がない。

 

「あ!アスラン!」

 振り向きざまそう叫んで、やっとの事でキラが正気に戻った。

 

「え!ウソ!どこにいるの?」

「ごめんなさい。キラがほうけてしまって、元に戻らなかったものですから」

 

「あ、ごめん」

 

「…で、アスランは何と?」

 キラは再び焦りだした。しばらくラクスに撫でてもらってようやく落ち着きを取り戻す。

 

 

「あ、のね、早い話が引越先をもう決めちゃってるんだって。そんでもってもうすぐ引越業者がここへ荷物を取りに来る……って、ラクス〜〜〜!!!!!アスラン、手ェ早すぎ!」

 

「さっ……すが、コーディネイター、ねぇ………」

 そばでマリューが呆れ果てていた。

 

 

 そうこうしているうちに、時間は刻一刻と経ち、本当に引越業者がやってきて、ダンボール箱を全てトラックに積み込んで去っていった。キラ達にはそれがひどく早業のように見えた。

 

 

「ね…ラクス?僕の幸せって、もしかして終わったのかなぁ………」

 

 

 引越業者の笑顔を呆然と見送ったあと、どのくらい時間が経っただろうか。力無くキラがつぶやき、乾いた笑いをラクスに向ける。涙がほろりと、その瞳に浮かんでいた。

 

「いいえ!終わっていませんわっ!ええそうですとも。これ以上アスランの好き勝手にはさせません!キラに話もなく全てを進めてしまった責任は、取っていただきますから!」

 

「いやラクス……そういうことじゃなくって」

 

 

「いくら変態へたれさんでも、キラの気持ちをもう少しゆっくり受け止めてあげるべきだったですわ!」

「ラクス〜〜〜!」

 

 苦笑していたキラはふとあることに気が付いた。

 

 

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言い訳v:動きが活発になってきましたが、実はラクスの心の声が書けたことが満足だった回でした(笑)そしてキラはなんだかんだ言いながらも、アスランのことが気になってたまりません。あれだけ嫌ってたのに、ちゃんとアスランと電話でフツーに会話してるでしょ?

次回予告:ラクスの現実的な一言が現実逃避しかかっていたキラの心にぐさりと突き刺さる。アノ性格でアノ口調のままついにキラはアスランの手に渡る!ところがうかつに手を出せないアスランの側には、史上最強の「監視」がついていた。

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