初めての料理
〜自分が作った不味いものはきちんと自分で片付けよう!〜

 



 明日の調理実習の練習がしたいの、付き合ってくれる?とキラに可愛くねだられ、アスランは今キラの家のダイニングに座っていた。



「えへ……」

「……」


挿絵:不肖秋山作



 右手、左手にスプーンとホークを持ち、ぴしっと固まるアスラン。

 その向かい側の席にキラが腰掛け、アスランが食べるの今か今かと眺めている。





 両手合わせて合唱。



「…いただきます」


 ホカホカと湯気をたてるオイシソウな緑色のミートスパゲティ…。



 目の前のキラ作スパゲティにアスランの端正な顔が引きつっている。



「お、美味しい?」

 可愛く微笑みながら尋ねてくるキラの笑顔が眩しくて憎たらしい…。





 くるくるくる…器用にホークを使いスパゲティを巻いて、ひたすらゆっくりとアスランは口に運ぶ。



ぱく。





「……」





 無言。咀嚼しているのか、飲み込んでいるのかそれすら定かではない。

 ただホークを銜えたまま硬直している。



「あのね、ちょっと失敗しちゃったの。…ごめんね?(上目でうるうる)」


 無言の沈黙が怖くて、涙目でキラが失敗作なのと暴露する。



 食べてから言うなよと心底思うアスラン。必死で口の中の異物を噛まずに飲み込んだ。



 でも涙目のキラが大変可愛くて何も言えない。





「…やっぱり美味しくないよね、こんなの」

 こんなのと自分が作ったスパゲティを見つめ、アスランの握るホークを奪うと一口分の麺を巻き、勢いよくえいっと口に放る。



「……」



 無言…。





不味いとか、不味いとか、不味いとか、不味いとか…etc.





 そんな簡単な言葉で表現出来ない程凄い味がするスパゲティ。


 アスラン同様、飲み込む事も咀嚼する事もなく、呆然と目を見開いて固まっているキラ。


 そのまま皿を持ち上げ、キッチンへと戻ろうとするキラの手を掴み、アスランが笑顔で告げた。そう、その人よりもちょっぴり広い額に青筋を浮かべ付きで。



「…食べような、全部」



挿絵:不肖秋山作


「・・・あずらぁん」

 キラの手から皿を奪い、代わりにホークを握らせる。



「……」



「食べるよな、自分で作ったんだもんな?」





 翌日キラとアスランは腹痛により学校を休んだ。

終わり





おまけ


「…馬鹿アス」


「睨むなって、ってかそもそもキラが悪いんだろう。あんなもの作るから」

「もの言うな。ちゃんとしたスパゲティだったでしょ」



「…ちゃんとしたミートスパゲティは緑色してないし、腹も壊さない」


「…オリジナル性あるじゃん、緑」



「そういう減らず口を叩く口はどの口だぁ?」

「い”だだだだーぃっ。頬っぺた抓らないでよ、アスランっ!



「キラが可愛くないこと言うからだろう。そもそも、一体何入れたら緑になるんだよ、ミートスパゲティが」





「緑は、なんか作ってたらそうなったのッ」

「なるかッ!」



「ふん、だったら自分で作ってみなよ、お坊ちゃまなアスランも!」


「きーらーぁ)怒」



「ふん。アスランが僕の手料理を粗末にするからだっ」

「粗末以上に人間が食べて無害なもの作れるようになってからそう言う言葉は使おうな。今の料理の腕じゃ、炭酸団子と同レベルだぞ」

「炭酸団子ッ!??」



「そうだ。虫殺し、ゴキ殺しに効果覿面。素晴しい殺虫効果」


「……なんでスパゲティをそんなもんと同レベル扱いされなくちゃならないんだよ」



「不味いから。とっても不味かったから。そして、こうして腹壊したから、学校休んだから」


「たんたんと不味いとか人体への有害を力説せんでいいっ!」





「…けどな、頭回して良く考えてみろよ」

「何をッ!?(血走った目で睨みつけ)」


「学校でアレ作ってたら…?」



「……」



「良かったな、家で作って。俺だけで被害済んで、友達なくさなくて本当に良かったよな?」





「アリガトウゴザイマシタ、アスランサン。ホントウニカンシャシテイマス」



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門倉様素敵サイトへ行っちゃうv→
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 門倉帰一様よりいただきましたv秋山の宝物デス!しかも、うるわしきカラー挿絵まで頂いちゃって、感謝のしようがありません〜〜〜。そぉいえば秋山は麺星人です(笑)パスタもうどんもラーメンも大好きです!
 あまりのうれしさに秋山もへぼ絵なぞをつけてみたんですが、毎度ながらガクーな出来で申し訳ないです。門倉様〜本当にありがとうございました〜〜〜v 秋山 拝。

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