−2008−
契約終了は新たなる始まり・後編
「………アレ???」 「………」 「キラ?動悸打ってるよ?身体も、痙攣してる……!救急車呼ばなきゃ!!!」 つと腕をゆるめた瞬間にアスランは思いきり殴り飛ばされた。 「そのままもう二度と帰ってくんな!!!」 「病気じゃないの???」 「ほっといてよっもう関係ないんだから」 ドサリと倒れ込んだアスランは何かに気づく。 「ドキドキ…してる………とか?」 キラは答えなかった。うつむいたまま何故か表情を隠そうとしている。 「まさか、キラも同じ気持ち?もしかして、あの時キラも本気でヨカッタ!!??とか………?」 返事は二度目のこぶしだった。 その瞬間、握り拳の痕で真っ赤に腫れた頬を押さえながら、気持ち悪いだけの笑顔を振りまく人間が誕生した。 「良かった!キラもちゃんとイってくれてたんだwww」 「うるさいッ!」 「俺初めてだったんだ。けど、これほど嬉しいことはないよ!男として最高」 そしてある事実が発覚する。 「初めて???ザラさんってもう歴戦かと……」 アスランはとんでもない、という風に身振り手振りを交えて必死に否定した。 「好きになったのも、あの日のことも全部初めてで……でもだから、アルバイトは終わりにして本気で付きあえないかなってずっと思ってた」 ああ、だからあの花束にこの車にその格好な訳ね。キラはようやく腑に落ちた。 「好きです。その気持ちだけじゃ、だめかな?」 真正面切って言われるとオンナノコは弱い。胸がちくりとした。 「わかんない…」 再び手を握られて否応なしに思い知らされる。ドキドキする自分を。 「本当に嫌なら、逃げて」 アスランが近づいてくるのだけは何となく判った。燃えるような紅葉に囲まれて二人っきりで交わした唇の味は、緊張しすぎて全然記憶に残らなかった。 その後の出来事は本当に怒濤そのものだった。 何で目の前にミーアさんが居るのだろう?とか 何でアスランと腕を組んでいるのだろう?とか どうして僕たち二人の薬指に指輪が挟まってるのかな…とか ああそう言えばアスランが狂喜乱舞して僕を引きずって買いに行ったんだっけ?とか やっぱりミーアさん、凄く悔しそうな顔してるよね…とか 街頭を歩いていると、<ザラ氏、歌姫との婚約を解消、結婚へ>とかいう街頭字幕ニュースが嫌でも目に飛び込んでくるとか……… アスランの首をひっつかんでガクガクと前後に揺らし、何でこんな大仰なコトするんだ!!!!!と肉迫したら、「無問題〜♪気にしな〜い気にしなぁ〜〜いwww」ととぼけられたこととか…etc。 あげればキリがない。そして自分は本当ににわかに時の人になってしまった。 やっと繋がった電話でラクスさんと話したら、ちょうどイザークさんとかいう世界的モデルと両想いになれたとかで、5時間のろけられた。 「キラさまはアスランと幸せになって下さいな〜〜〜♪」 「ちょッ!ラクスさんッッ!!!!!」 「アスランもこれから大変でしょうけど、ちゃんと最後まで飼ってあげて下さいねw」 「ハァ!!?」 「キラさまはわたくしから見てもとても羨ましいほど、殿方に愛される身体になりましたものねw他の男の方が放ってはおかれないはずですわ」 「それはラクスさんのせいでもあるでしょーっ!!!」 「アスランはイザきゅん以上に嫉妬深いですから、殴ってでも正気に戻してあげて下さいねwwwアスラン専用のお相手が出来たこと、心から嬉しく思いますわ〜〜それではまた〜〜〜wwwww」 「ちょと!!!イザきゅん……って!いや、それよりもアスラン嫉妬深いって………」 聞いてない。 「わたくしこれからイザきゅんと素敵ナイトを過ごしますのwそれではキラさま、お話しできて嬉しかったですわーーー!」 ツーーーーッツーーーーッツーーーーーー………………………。 強ばる指で押したリダイヤルボタンは繋がらなかった。折悪くアスランがバスから帰ってくる。 「俺が嫉妬深い?ラクス、何だって?」 「ぅわッ!本物!!!」 ザラ家のアスランの寝室。いつものように素っ裸にタオルを1枚首にかけただけのとんでもない姿でアスランは堂々とやって来た。 「……………。文明人なら服を着ろって言ってるだろ!!!」 「いいじゃん。どっちみち脱ぐんだし、めんどくさ〜」 「いい加減デリカシー学べ!縄文人!!!」 「じゃ、キラも学んでw俺がどれだけ独占欲が強いか…とか、そう…嫉妬深いか………とか」 「!!!!!」 「知ってる?初めて会った日からずっと君に夢中だった…」 「……………」 月光差し込む部屋でアスランに押し倒され、キラもすぐに文明人ではいられなくなった。 駄文トップへ戻る→ −−−*−−−*−−−*−−−*−−−*−−−*−−−*−− 言い訳v:ここまでお付き合い頂きましてありがとうございました!!イベント企画なのでキラ誕からお待たせしました。楽しんで頂けたら幸いです^^ |
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