キッチュ☆フィッシュ☆プリンセス!

第4話



 数時間後、アスランがまっ裸のキラ(
←一応マントで包んではある)を連れて王宮に帰ってきたとき、シンに呆れられ、ハイネにからかわれ、ナタルに激怒され、そしてタリアから盛大なげんこつを食らった。



「何をするんだ!俺の妻だ!誰にも文句は言わせないぞ!」



「ホントに連れ帰ってきたんですか…」
←シン


「へぇ〜可愛子ちゃんだねぇ、本当に人魚だったの?どこかでたぶらかしてきた隣国のお姫さまとかじゃないのォ〜?」
←ハイネ



「何をやっているんですか!そんなことが認められるはずはないでしょう!!!」
←ナタル


「全く!あなたには国のトップという意識はないんですか!そんな、どこの馬の骨とも知れぬヘンな動物(?)を連れてきて、しかも妻などと!」
←タリア





 だがアスランは…既に居直っていた。


「もう遅いんだ!キラとはちゃんと将来の約束をして、もう心も身体も夫婦になっちゃったもんね〜〜〜vねっキラぁv」


「やんっアスランったらぁっ。そんな恥ずかしいこと、大っきな声で言わないでよぉv」



「だって…キラったら、この世のものとは思えないくらい可愛すぎ!犯罪だよ、キラっv」


「もぉ〜〜〜。でもアスラン…お願いだから、今度は知らない人から見えないところでシてよね」


「あの時は、ごめんね。背中、岩で痛かった?」



「うん…」



 もはや何ひとつ隠そうともしないバカップルを目の当たりにした人たちは、みな一様にこう思ったという。



((((お前ら……岩の上でア●カンしたのかよ………))))





 後日。

 ミーア・キャンベルが侍女タリアの制止を振り切って、アスランの執務室にやってきた。


 彼女は一番に目に飛び込んできた光景に絶句し…そしてキラに怒りを向けた。

「アスラン!その女はどういうことですの?あたしという者がありながら、そんなはしためをお側に置くなんてぇっ」


「ミーア!」



「ね、アスラン?この人がアスランの言ってた、元婚約者?」

「元…ね。俺にはキラだけだからv」



「まぁっ何ですって!言わせておけばこのあたしに向かって、無礼なことを!」


「いい加減にしてくれミーア。前から言っているだろう、俺は君と結婚する気などないと!」





 ミーアとアスランの舌戦をよそに、キラはアスランのあぐらの上にちょこんと座ったまま、不思議そうに小首をかしげている。

 その姿がアスランのエロ心を刺激し、彼は添えていた腕を自分のほうに引き寄せた。するとキラは「ぁ…っ」と小さく声を上げ、アスランにしなだれかかる。


 しかしすぐに彼女はかしげていた首を上げ、きれいな青緑の瞳を見据えた。



「ねぇ、アスラン。僕…違うと思うんだ。この人、アスランを見てないよ」


「キラ…?」



「こんなんじゃ、アスランと一緒になったって幸せになれるとは思えない」


「何ですって!いい加減なことばかり言って、あたしからアスラン奪ったくせに!」





 悔しがるミーアに目もくれず、キラはアスランに訊いた。


「ね、アスラン。イザークって言う人…誰?」


「イザーク?隣国の国王じゃないか。最近、王位を継いだんだ。俺とは…まぁけんか友達だけど、イザークがどうかしたのか?」



 急にふられた話に、ミーアの目も点になっていた。

「その人と会ってみると良いと思う」

「な…何を言ってるのよっ」



 すると急にアスランがまじめな表情をしてミーアを見据えた。


「ミーア、イザークに会ってみないか?あいつには俺から親書を出しておこう」


「アスラン?」



「これが…キラの力なんだよ。君は俺なんかよりも、イザークと会うことで幸せになれるはずだ。キラ…そうだろう?」


「うん。なんとなく…そう、思うから。僕にも良くわかんないけど…」



「何訳のわかんないこと言ってるの?アスラン、あたしは…」



「ミーア、俺の最後の頼みだと思って、聞いてくれないか?一度…会ってくれるだけで良いんだ」


「アスラン?」



「俺は、俺なりに君の幸せを心から願っている」



 そう、アスランが微笑んだとき、ミーアは何が気に障ったのか、何も言わずに執務室を出て行ってしまった。


「俺にはキラ以外考えられないし」

 こう言って早速昼間っからキラを奪おうとしたとき、キラも「僕もっちゃんとしなきゃ!」と言ってアスランを驚かせた。



「家出してきたままになっちゃってるけど、やっぱこのままじゃダメだよ。僕も、ちゃんと父さんやみんなと和解しなきゃ」





 そうして、その日の午後。

 例の岩陰で、キラの親族とアスランは対面し、キラを娶ることを事後承諾させた。
←もうキラは奪われちゃってるので、既に遅い。





 ところが王宮に帰るなり、アスランはキラを連れて寝室へ直行した。よく解らないまま流されるキラ。

 彼女には笑いながら涙の止まらないアスランが、不思議でならなかった。



(見るんじゃなかった…男の…ゴツい人魚なんて………見るんじゃなかったァ!あ〜〜〜ダメだ〜〜〜今寝ちゃうとマズイっ。アノ筋肉質な、ゴツい胸板が……濃いわき毛が……立派すぎる胸毛がっ………脳裏をよぎるぅ〜〜〜〜〜嫌ァアアアッッ!ヒゲが襲ってくるぅぅううう〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!)





「……?どうかしたの?アスラン?」
←ゴツい胸板の男の娘



「俺…キラで、よかった……」


「………は…?」
←くどい様だが…(笑)





「いや前言撤回!キラじゃなきゃダメだ〜〜〜〜〜ッッッ!!!!!」


「???よくわかんないけど、僕はアスランと一緒にいられてすっごく幸せだよv」



 アスランが、人魚の王ウズミ・ナラ・アスハの姿に魘されていることなど、キラには知る由もなかった。


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言い訳v:あ!なにげにイザ×ミア!?毎度ながらこんなのにおつきあいいただきありがとうございます。今回特にいつもなかなか出せない人を出せて、学芸会ちっくにしてみました〜。

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