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ふぇいず 14 

 

 

「あぁあああ”〜〜〜〜〜ッ!!!!!」

 

 突然の絶叫が耳をつんざく。お隣さんとか、ご近所とかいなくて本当に良かった……と、ギャラリーはしみじみ感じていた。それは、キラの絶叫が響き渡るたび、砂煙を上げながら彼の元に猛ダッシュをかける人とセットでもあるからだ。

 

 

「キィ〜ラぁぁあああ〜〜〜っ!今度はどうしたのっ」

 

 アスランのダッシュにハッとなった人たちがいた。

 

「こうしてはいられないわ!キラ君が危ないわ!ラクスさん、行くわよッ」

「ええ!そうですわね」

 そうして彼女たちは、猛獣退治に行った。

 

 

 ところが………、

「やった!やったよ!アスランッ」

 キラの声が低い。不審に思ったアスランは「キラ、ごめん」と言って脱衣室に乱入し、そこで驚愕の事態を目撃した。

 

 

「やったよアスラン。僕…戻れた!」

「キラ!」

 

 そこには何もかも元通りの友人の姿(♂)があった。もう、アスランのTシャツも大きくはない。

 

「キラ………何で?」

「よく判んないけど、シャワー浴びたら元に戻った」

「何で?昨日までは戻らなかったのに……?」

 

「う…ん。……っくしゅん!」

 

 

「……?キラ?お湯ひねらなかったの?」

「頭冷やそうと思って、水……ってまさかッ!」

 

 

 アスランの行動は早かった。キラの手を引いて浴室に戻ると、洗面器にお湯を満たす。そしてそのお湯をキラの頭からザバーとかけた。

 

 

「!!!」

 

 

 そして次に、同じく水を満たし、頭からザバーとかける。

 

「!!!!!」

 

 

 そして…知った。医師が「体質」と診断した本当の理由を。

 

 

「つまりはお湯をかけると女の子になって、水をかけると男に戻る……と、そう言う…こと…?」

 

「……………」

 

 

「…ということは何?これから僕はシャワーを浴びるたび、女になって、出る時は水を浴びなきゃなんないってこと?夏でも?冬でも?……カゼ引いちゃうよ、コレじゃぁ………」

 

「……どうやら、そのようだね。そ…それよりもキラ!もっと大事なことが!」

「……?…何?」

 

 

 そう、それはとても重要なことだった。何よりも最優先される問題でもあった。

「バレないように、気をつけるんだぞ……」

「……うん!そう、だね」

 

 

「これからお前、海やプールは良いけど、温泉は絶対誰かと入っちゃダメだぞ」

 

「……そう………だね……………」

 返事はとても実感がこもっていた。

 

 

 着替え直して脱衣室から出てくる。今度はもう大丈夫だ。男に戻ったのだから!もうブラとはしなくて良い!ミニスカとかはかなくても良いし、ドレスを着せられる心配もない!キラは久しぶりに自信を取り戻していた。

 

「マリューさん、ラクス!何だか判んないけど、僕は無事に男に戻れましたから、僕の着替えを返してください♪」

 

 

 自信満々のキラ(♂)に対してラクス達はしばらくぶーぶー言っていたが、仕方なくキラに倉庫のキーを渡した。

「楽しかったのに……」

 

 

「何言ってるんですか!やっぱり単なる事故だったんですよ!」

 キラもちょっぴりオトナになった。本当のことを言うと、今度は背後を気にしながら生活しなきゃならなくなる。そんなのはもうごめんだった。

 

 

「さあさあ!ご飯にしましょうね!それと、カガリさんにお土産を買っておかなくちゃね」

 このメンバーのなか、最強なのはキラでもラクスでもなかった。キラを育てた最強のナチュラル、カリダ・ヤマトであった。

 

「カガリに土産……って、アスラン!そうだ、君…プラントへレノアおばさんの墓参りに行ってることになってるんだった」

 

「しまった!しかし今からプラントへは行かれないぞ」

 

 

「〜〜〜っ!何かないかな?そうだ、通販か何かで頼めば!」

「それだぁああっ!キラぁああ!!!偉い!キラ!持つべきものはやっぱ親友だぁあ!」

 

 

 2日後、無理してそしらぬ顔を作りながら、カガリにプラント土産(でも通販)を渡すアスラン・ザラの姿が行政府で見られた。カガリはというと、アスランの微妙な表情に全く気づいていなかった。

 

 

(ョ…ヨカッタぁぁあ!カガリがキラと双子で……ヨカッタぁあっ!!!)

 

 

 アスランは、キラとカガリが双子であることにこの時初めて感謝した。そりゃキラが女の子になってる時は、どぎまぎした。なんたって腐っても双子だ。確かにいくら二卵性双生児とはいっても、ただでさえキラとカガリは似ている。キラ(♀)の顔を初めて見た時、カガリを更に美人にした感じがして、ドキドキしっぱなしだったから。

 

 しかし、性格にも似ている部分があったのは正直助かっていた。カガリもキラも頑固者で…でも、ボーっとしてお人好しで……そんなことを考えていると自然に笑みがこぼれた。

 

 

(なんだかんだ言って、双子なんだなぁ……)

 

 彼は帰りの車のなかでつぶやいた。これから忙しくなりそうだ。キラ女の子化の秘密は絶対に死守しなければならない。アスランの仕事がもう一つ増えた。

 

 

 …その後、キラがお湯を使うたび(それはシャワーでも温泉でも)、

 

 

「キラ使用中。絶ッッ対入るな!」

 

 

というプレートが掲げられ、有事の際にはいつでも駆けつけられるように、アスランが気を使うことになった。

 

 

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言い訳v:お粗末でしたが、お付き合いいただき誠にありがとうございました!本編でアスカガがくっついていましたので、カガリとキラが双子=おたがい好みもそっくりだろうと言うことで書き始めたこの話…いかがだったでしょうか。
 まぁさすがに「アノ設定」をそのまま使うわけにはいかないので逆にしてみました。しかし…「アノ設定」…いつも思うんですけど「微妙な温度」の場合、どうなるんだろう?27℃くらいとか←わんこの他に熱帯魚もいるんで、ついつい気になっちゃうんですよねぇ(独り言)

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