ボーダーライン〜夢とうつつの境界線〜

<後編>

「………という夢を見たんだけど、最近俺、疲れてるのかな……」

 アスランがソファに深く座りながら言う。



「あのねアスラン、今の僕見てよくそんなことが言えるね!」

 目の前に座った幼馴染み(♂)からのきつい言葉。

 確かに予想はしていたけれど。



「仕方ないだろ!キラが……その、あのキラなんだから」

「言わないでよっ!今だって考えないようにしてたんだから!」


「でもそう言われましても………ねぇ。本当のことですから、仕方がありませんわ」

「ラクスまでそんなこと〜〜〜」



「お前がこんな身体じゃなきゃな〜」


 嫌な予感がする。


 アスランが立ち上がってキラ(♂)に近づいてくる。

「きっ…き……きみにはカガリいるでしょ!」


「そのカガリが、忙しすぎてここ数ヶ月まともに会えないんだよ」



 ぷにゅ!

 アスランの指が服越しにキラ(♂)の乳頭に触れる。


「や…っ」

 ぼふぅ〜〜〜ん!


 キラ(♂)の身体から湯気が立って、一瞬でキラ(♀)は今までのキラ(♂)ではなくなっていた。





「何するんだよもぉ〜〜!忘れかけてたのに〜」


 キラ(♀)が猛抗議する。

 しかし慣れているのかアスランもラクスも既にスルーだ。


 どうやら二十歳になったときからこんなことになっているらしい。他人に乳頭をつつかれたら性別が変わってしまう。

 おかげで乳頭を指でつつかれるたびに、ぼふんぼふん湯気が上がって大変だ。

 そのたびにキラ(♂)は男の子になったり女の子になったりする。





「コレさえ知らなきゃなぁ〜〜〜」


「何?アスラン。まさか僕見て欲情とかしてるんじゃ………」

 キラ(♀)の顔からサァ〜〜〜ッと血の気が引く。



「仕方ないだろ〜。俺だって実に健康的な身体で、若さゆえの勢いで今一番飢えてるんだから…」


「う……ッ!う…飢えてるって……!!!」



「まぁ、いけませんわね!アスランがキラを狙っていますわ!」

 そう言ってラクスも、キラ(♀)のある程度ふくよかな胸の頂を、テレビのリモコンでも押すかのように気軽に押した。



 ぷにっ!

「きゃんッ」


 ぼふぅ〜〜〜ん!

 再び湯気が上がってキラ(♀)は元の姿に戻る。



「あっ!人のせっかくの目の保養を〜〜〜」


「それだけでは済みませんでしょ!アスランは今飢えまくってるのですから、そのままキラをその手にかけることも考えられます」


「ちょっとヤダ!それだけはやだッ!」



「キラは俺が嫌いなのか!」

「ソレとコレとは話が別ッ!」


「女の子になってしまうと、アスランに襲われますもの。キラはずっとこの姿のままでもよろしいですわ」

「ラクス〜〜〜v」



「これで心おきなくキラを手籠めに出来るというものです」



!!!!!

 場が凍った。





「て、手籠め………って」


「うふふふふ。簡単な話です。キラが男の姿である限り、夜這いなり強姦なりしてわたくしがキラの子供を孕めばよいのですからv」


 キラ(♂)がラクスの隣からスザザザザーーー…っと、引いた。

 ラクスも…飢えていた。



「冗談じゃありません。あなたになんか渡せますか!キラは4歳の頃から俺の大事な存在なんです」

「初恋は大事に胸にしまわれてはいかがですか?わたくしとしては女の子なキラも大好きですけど、それではアスランが四六時中つけ狙いますし、やはり男姿のままのほうが何かと便利がいいと思いますの」


「べ…便利………って!」



 キラ(♂)は青くなって慌てまくり、部屋の隅に追い込まれた。

 きょろきょろと目が右往左往するが、もう、逃げ場はない。





「キラだって男ならそれはプライドに関わる。嫌に決まってる。な?キラ!」


「ぇ…えとぉ〜」

 キラ(♂)は微妙な返事をした。肯定した途端、キラ(♀)はアスランのものだ。



「キラは無論、わたくしを選んでくださいますよね!」


 ラクスは好きだ。でも、男ならいわゆる下は嫌だ。

 目の前のラクスを見るかぎり、本当に夜這いも強姦もされそうな勢いである。キラ(♂)の意思などそっちのけで。



「キラ、選んでくれ。俺とラクス、どっちがいいんだ!」


「そんな…そんなこと、決められないよ………」

「優柔不断は男らしくないですわよ」



「そうだ。ここで白黒ハッキリした答えが聞きたい」


 その場に流れるピリピリした空気と脂汗。





 しばらくたってラクスが溜息をついた。


「キラだって今すぐ決められる話ではありませんわよね。こんな大事なお話」



 大事な話。それは、ラクスを選んで彼女に強姦されるか、アスランを選んでやっぱり自分が下になるか。キラ(♂)にはどっちも選……………びたくない話であった。


「キラに考える時間を与えもせず、この場でお返事をというわたくしたちは、確かに間違っていました」


 キラ(♂)はコクコクと首を縦に振る。

 一刻も早くこの場から去ってしまいたかった。



「ではキラ、明日までに決めて下さいね」


 ぇ?



 固まるキラ(♂)をよそに、アスランとラクスは火花を散らしながら部屋を去ってゆく。

「明日が楽しみですわね」

「ええ、楽しみです!」



 ちょっと待ってというように振り上げられた手は、力無く震えてガクリと床に落ちた。いきなり窮地に立たされたキラ・ヤマト(♂)。彼にとっての明るい明日はどっちだ!?


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いいわけ:続きません!それはこの先を全っっっく考えていないからです(キッパリ)男から女へと転換サイクルが激しいので、性別解説をいちいち付けてみました。最近へたれアスが多かったので、黒ラクスvs灰色アスランを書いてみたかっただけかも(笑)

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