危ないアスライダー☆おさらい過去ログ
*オムニバス形式*

第1話

やぁみんな!俺の名前はアスラン。普段はア●バ系の健全なる性少年だ。実は俺、世界の平和を守る正義の味方に(何故か)なってしまったんだ。…というわけで、今日も世界平和のためにお隣さん家のキラを草の影から護衛中だ!え?そりゃストーカーだって?そんなことない!立派な仕事中なのだ!!←勘違い中

一体何処から訂正して修正していいのか…爆裂暴走サヨウナラ状態にトリップした親友(?)にズキズキと痛む眉間を揉みつつ幼稚園からの腐れ縁、アスランの幼馴染イザーク・ジュールは肩を落として溜息をついた。


イザーク「……もう気は済んだか、アスラン。朝っぱらからご近所さんに不審オーラを炸裂するな。ほら…皆、どうやって対応したり突っ込んだりしていいか分からなくて遠巻きに見守っているぞ」

アスラン「む!? 何言うかこのデコッパチっ! キラを見守るのは俺の使命。神様が俺に下した天命なのだ。お前ごときが俺に物申すなど一億年早いわ!」

イザーク「ああ…お前が言いたいことはよぉく分かった。分かったから、もう行くぞ。このままでは俺たちの方が学校に遅刻する」

アスラン「あ、な、何をする! おい、こら、聞いているのかこのデコッ! おいっ、離せ!! ひーきーずーるーなぁ〜〜〜ッ!」



制服の襟を引っ張り力ずくで学校へ連衡しようとするイザークと電柱にしがみ付き必死で抵抗するアスラン。そんな見かけだけなら文句のつけようのない二人の仲睦まじい日課を遠巻きに見つめながらご近所の皆様は思う。ああ、今日も一日平和だなぁ、と。

イザークがひたすらアスランを引きずってゆく。しかしそれで納得行かないのは当のアスランだ。

アスラン「あっ!コラそっちの道に行ったらキラが見られない〜」

しかしイザークは何が何でも距離を取りたかった。さすがに朝っぱらからコントをやっていては周囲の視線が痛い。マジに痛い!

イザーク「お前がガタガタわめくから、余計目立つだろうが!いい加減彼女から離れろ。キラちゃんだって迷惑なはずだ」

しかしアスランは思い込んでいる。

アスラン「キラの護衛は俺の天命なんだ!これぞ天職!キラは俺が守って見せる!!」

イザーク「どうでもいいからわめくな!俺たちは今フツーの高校生で、しかも今は登校時間中だ!」

アスランの暴走はしばらく止まりそうになかった…。


さてさて、そんなストーカーとその保護者…もとい飼い主がヤマト邸の玄関先で大騒ぎをしていた頃、ストーカーの被害者である当の本人、キラ・ヤマト嬢はふかふかの布団の中で健やかな惰眠を貪っていた。

キラ「うぅん、もう食べれないよぅ〜……むにゃむにゃ」

大変可愛らしいことこの上ない寝言をもらしながらキラは腕に抱いた枕に歯を立てる。

キラ「むぅ、でもコレ硬いかも……あむむ〜むーッ!」

寝心地100%☆。熟睡枕 「スィミーン君1号」。どんな不眠症の持ち主でも安心して永眠に誘うというスーパー・アイテムである。定価ウン万円はくだらないという希少価値枕をハムハムと噛みキラはとても満ち足りた幸せな顔で呟いた。

キラ「んー……もうちょっと塩っ気、ほ……しぃ……」

呻きが叫びに…我慢と辛抱が怒りに変わる時、事件は起こる――勢いに任せ布団から飛び起きたカガリ。肩を怒らせ一晩中クソやかましい寝言をもらし続けた愛妹の部屋へと向かおうとした。カガリ・ユラ・アスハには悩みがあった。とてつもなくクダラナイ事情であったが、彼女にとっては死活問題であった。寝不足で窪んだ眼の下に濃い隈を浮かべ、頭までずっぽりと布団の中に潜り込みカガリは呻いた。

キラ「しぃお・ぷりぃず・みぃ……」

ガックン。タイミング良く響いてきた声にカガリの肩から力が抜けた。

カガリ「い、いい加減……。いい加減にしーろーよぉーっ!」
――が。

カガリは叫ぶ。

カガリ「キぃラぁあああ〜〜ッ!朝だ!起きろ!!遅刻する…もぉ遅い!遅刻だぁ」

しかしさすがは世界最高の抱き枕。だからこそ、キラはいっこうに起きられないのであった。怒りが頂点に来たカガリはキラから抱き枕をはぎ取ろうとする。とにかくキラを起こさなければ遅刻だ!

カガリ(はぁ〜〜っ。何でこんなのと私は姉妹なんだろう……)

呟いたところで、悲しんだところで、事態は一向に変わらなかった。

カガリ「えぃ!………って、何をするキラ!手を離せっ足を絡めるな!」

そう、そこには全世界をも虜にするのではなかろうかと言うほどの美脚があった。

カガリ「………ぅ…負けてる…」

そして彼女は最終手段に出た。

どこから出したか巨大ハンマー。それをキラに当たらないように慎重に狙いを定め………まるで高校野球児のように勢いよく枕を狙って振った!キラとは違い体育会系のカガリ。彼女の反射神経は驚くほど正確に抱き枕を撃ち飛ばしたのであった…。

第2話

 とあるうららかな午後。ぽかぽかと暖かい陽射しとは対照的にアスランは焦っていた。通学に使っているママチャリにヘンな装置が付いていることを、キラに見とがめられたからだ。ヤバイ!それは愛しいキラを影ながら守るため、彼女にだけはばれてはいけない大切なモノ!!!

「まぁたアスランはヘンなモノつけて〜〜〜〜〜」
 キラにとっては何と言うことはない世間話のつもりだった。

 脂汗だらだらだらだら……………


 そしてアスランはダッシュで自転車を押して逃げた。すると当然キラは追いかけてくる。道の角を曲がったところから逃げ切れそうになくなって、アスランは叫んだのだった。
「へ〜〜〜〜〜んたいっ!」



 そして今に至る。ジャスティスで逃げ切ったのはいいものの、さすがにMSは大きすぎた。全長18m以上、総重量80t以上ある。しかも………赤い!

 その頃諦めたキラは幼馴染みを放置して自宅に帰っていた。
(ま…アスランがオカシイのは今に始まった事じゃないし…)
 気づいてないのキラだけだった。…で、ぽちっとTVをつけるとワイドショーをやっていた。



 同時刻、テレビの住人も大変だった。久しぶりの生中継だ!事件だ!いわゆる「予定を変更してお伝えしております」状態だ!リポーターは今をときめく萌え系少女メイリン・ホーク。彼女はジャスティスに果敢に近づきながらも報道する。
「中には変態が立てこもっている模様!何か動きがありましたらまたお伝えします!」

 何故かって?
 そりゃぁ微かに変態ちっくなつぶやきが聞こえてくるからだよオネイサンvさすがにジャスティスの武装うんぬんが本物とは思っていないので、世間には違法巨大建築変態立てこもり事件として今まさに報道されている。



 それを見てるキラは何〜も知らずに暢気にせんべいをかじっていた。隣にはキラを愛して止まない姉もいる。
「カガリ、変態が出たんだってー、世の中には変わった人がいるんだねぇ」
 バリ!ボリ…。ぅん、美味しいよこのおせんべいv

 カガリも普通に
「迷惑だよな〜あーいうの」
とか言っている。知らないとはかくも恐ろしいことで、この二人にとって完全に「他人事」だった。



 さぁ、場面変わって報道萌え魂リポーターのメイリンの腕の見せ所です!歩くCICの異名を持つ彼女としては頑張らないわけがない!最新の状況を迫力脚色満点で絶叫中だ。

 ところでどうでもいいことだが、彼女の姉ルナはそれをこっそり盗聴している←重要事項(笑)



 生中継開始から30分後。それを見て勝手に”キラさんは俺が守る!”とかなんとか訳の分からないことを言いながら、正義感に燃えたシンがアスランに戦いを挑んでいた。
 シンはキラの所属するクラブの後輩で、キラにちょっと必要以上に夢見すぎのアツい血潮たぎる勘違い君だ!彼も心密かに自分こそがキラ親衛隊長にふさわしいと思い込んでいた。

「あんたってひとわぁぁー!」
 近所の公園で繰り広げられるくだらない舌戦!MSは既に無用の長物だ。邪魔なだけでなぁんの役にも立っていなぁい!

「●●●は●×▼で俺の☆◆◎だからピ〜〜〜〜〜〜(以下略)」
「アンタには渡さねぇ!アイドルは△◎☆☆■してちゃんと◆♪●◎するんだッ!!!」
「なにおぅ〜〜〜!ピ〜〜〜…ピピィーーー………(倫理上の問題があり放送を控えさせていただきます)」


 どれだけ時間が経ったか、夕焼けの美しく照らす公園で、シンはアスランのキラ萌えぱわーの前に敗北した。
「完敗…です………」
 ガクッと倒れ、立ち上がることもできないシン。勧善懲悪の最大の見せ場は、お子さまには見せられない深夜放送並み放送禁止用語の雨嵐で埋め尽くされていた。メイリンでさえ近づくことができない。幸運にも下品きわまりない舌戦はお茶の間には伝わらなかった。

 遂にカメラマンがしょっている機材が壊れ(アスvsシン激戦による余波)、生中継は中断となった。取材陣が去ったおかげで、無事にジャスティスをママチャリに戻すこともできたわけではあったが。





 後日、タリアはイザークと電話していた。
「もう人類の恥を止められるのはあなただけだと思われます」
「シンは…やはり太刀打ち出来なかったか」
「経験値が足らなさすぎるわ」
「レベル不足は否めないか…クソッ!」
 などと端から聞けばゲームの話とも取れる内容だが、実はこの間のワイドショー生中継「違法巨大建築物変態立てこもり事件」の話である。フラフラになってレスキューされたシンからようやく顛末を聞くことができたのだ。

「ですが表向きは俺とて学生の身。そちらも最大限の協力を要請する」
「判っています。理事長を脅し説得し、教員としてできる最大範囲の権力を駆使しても、彼を止めなければ!」
「この国は滅びます。くれぐれも、デュランダル議長にはよろしくお伝え下さい」

「承知しています。実戦は、任せてもいいわね」
「もちろんです」
 校内の問題は実は人類存亡の危機。高校教師のタリアが自校の恥を最小限にとどめる為にイザークと組み、情報と指令を出していた。高校の理事長はギルバート・デュランダル。権力だけはあるものの、タリアにとって恋人である以外あんまり役に立たない人物であった。


 電話を終え、イザークは生徒会室から部室に移動する。そこには既にレイが居た。表向き部員だが、実はイザ仮面の手下だ。レイは情報収集に暗躍する忍みたいな事を得意とする。聞こえはいいが、じっさいいいところだけ持っていく役所ともいう。

 そこではこないだの戦闘によるPTSD(心的外傷後ストレス症候群)から復活しつつあるシンが、久しぶりにレイに泣き付いていた。
「頼む、俺一人ではムリかも知れない。レイも居てくれると心強いんだけど…」
「無理です。彼の萌えぱわーは強大だ。情報専門の俺には太刀打ち出来ない」
「アンタは戦わないのかよ…」
「俺の取り柄は頭脳だけです」


 シンの復活には今少し時間を要するようだ。ちなみにこの間何故イザークが来られなかったのかというと、誰にも言えない話………ハネンフース嬢とのお見合いデートだった(ツンデレバンザイ!)。


 世界は今日も…ゆっくりと流れてゆく。

執筆者様(チャット入室時のお名前)…門倉帰一様、くみ様、(管理人)

お読みいただきありがとうございました。1行でもいいので、ぜひ続けてくださいv